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沖縄を想う好奇心くすぐられるお店「Proots」

沖縄を想う好奇心くすぐられるお店「Proots」

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「デッドストックたくさん連れて帰ってきました。」

その言葉をSNSで見かけた時、今までスニーカーや古着以外の文脈でデッドストックという単語を見かけたことがなかったので、つい私の指がその投稿に反応した。

美味しそうなベッコウ色とラムネ色のそれは、琉球ガラスだった。

画像からして沖縄のお土産屋さんで売っている琉球ガラスとそもそも雰囲気が違う。

それはカラフルではなく、無骨で、なぜかフォルムに温かみがあった。

お土産屋さんにある琉球ガラスとどう違うんだろう。

昔の琉球ガラスはどんな触り心地なんだろう。

私は実際にそれを手に取ってみたくなった。

沖縄の浦添市にある港川という地域に「港川外人住宅街(港川ステイツサイドタウン)」というエリアがある。

昔は米軍の家族が暮らしていたエリアで、住宅の作りがレトロ且つ、海外様式になっていて、風情あふれる作りの住宅がきれいに立ち並んでいる。

今ではカフェや雑貨屋、パン屋などおしゃれなお店が集合しているため観光客にも人気のスポットだ。

その一角にある「Proots」というお店。

店内に踏み込んで、サッと目を通しただけでもみっちりと沖縄愛が溢れだしていた。

Prootsをオープンしたのは今から8年前、開業当初は港川のエリアもそこまで観光向けではなかったという。

「ご近所にはおばあが住んでましたし、この辺は結構ローカルな感じでしたね。」

「いまだに物を売ってるって感覚がないんですよ。セレクトショップとか雑貨屋とか言われるとピンとこなくてね。」そういうと照れ臭そうに笑う店主、萩原悠さん。

「扱っている作家のバックボーンだったり、作品の面白さ、なんでこういう作品になるんだとか。そういう背景にすごく興味があって、せっかく自分が学んだことを、興味持ってきてくれた人に共有したいと思ったんです。」

兵庫出身の萩原さんは、もともと大企業のサラリーマンだった。転勤で沖縄へやってきたそうだ。

企業で働いているライフスタイルが自分には合っていないかもと思い始めたちょうどその頃、沖縄には工芸や、ものづくりが身近にあると気づき始めたという。

「上から言われたことをただそのままやるんじゃなくて、自分の循環の中で何かやりたいって思ったんです。」

そう思った萩原さんは、沖縄の工芸について少しずつ調べ自ら工房へ足を運ぶようになった。

何もツテのないまま、自分の心に耳を傾け、脱サラした半年後にはお店をオープンした。

「僕はナイチャー(内地の人/本土の人)なので、沖縄の戦後史とかってほとんど知らずに育ってるんですよ。例えば琉球ガラスだったら戦後史とすごく絡むところが多いので、沖縄がどういうふうな歩みをしてきたのかっていうのを知ることができるんです。」

改めて思うことは、沖縄には日本人として知らないといけないことがたくさんある。

「知らずに育ってしまったから、沖縄は南国のパラダイス!みたいな安易なイメージもあって、そうじゃない部分もあるんだよっていうことを自分は見ていきたい、そしてみんなと共有していきたいと思ったんです。」

そういうと静かに頷いた。

戦後、資源不足だった沖縄。

米軍側から出るコーラやビールなどの空き瓶を回収し、砕いて溶かし、再生する事で生活必需品をまかなった。

そうやって言わば何もないところから、価値のあるものを自らの手で生み出してきたのだ。

混ざり込む気泡も再生ガラスならではの味として。

その厚みと形も人の手で作られたことが見て取れる優しいフォルム。

琉球ガラスの真髄はその背景にあった。

沖縄の人々の「歩み」とはこのことだ。

もちろん歩みの一部ではあるが、とっても大事なカケラだった。

「例えばね、これとか。素敵でしょう。」

そういって店内にあった琉球ガラスをおもむろに手に取った。

それは淡いベッコウ色で、ぽってりとしていて、縁が優しくくびれていた。

奥原硝子製造所という琉球ガラスの老舗のもの。

現存する中では最も古い、琉球ガラスの工房だ。

現代の名工にも選出された、故・桃原正男氏の代表作である「月桃ガラス」。

沖縄には生活に結びついている「月桃(げっとう)」という植物がある。

ぴーんとした葉っぱは、昔からお盆の時に欠かせないムーチー(餅)を包むものとして使用され、ぷくっとして可愛らしい白ピンクの蕾はやがて黄色い鮮やかな花を咲かせ、その実は乾かして煮出すと月桃茶として重宝されている。

月桃は抗菌作用に特に優れていることもあり、この特性を活かした抗菌ガラスを作ろうと桃原氏が実現させた名品だ。

「もう何時間でもずっと話せちゃうんですよね」そう言うと、微笑みながら琉球ガラスを大切そうにしげしげと見つめた。

この特別な技術で作られた月桃ガラスは、廃盤になっていてなかなかお目にかかれない。

「工房に足しげく通って信頼関係を築くうち、デッドストックの倉庫を案内して頂けたんです。もはや宝の山でした。」

目をキラキラして語ってくれた萩原さん。

「生活のために小売業をしていますが、極論は物を介さなくていい気もしてます。」そういうと爽やかに笑い、頭をかいた。

「自分のライフワークとしてやりたいのは伝えること。自分で調べて、世界が広がることが面白いんです。それをただただ広めたい。自分のモチベーションはそこですね。」

店内を見渡すと一つ一つお話を聞きたくなるようなセレクションで、好奇心がどんどんくすぐられていくのがわかる。

ここにある「モノ」には一つ一つに沖縄への敬意が詰まっていて、ストーリーに耳を傾けることで沖縄の人々の逞しさ、しなやかさを感じ、そして「今」を知ることができる。

店舗名の「Proots」はチャンプルーとルーツを掛け合わせた造語だという。

まさに触れることができる媒体のような、沖縄の原点を学べる、そして想い起こさせてくれるような空間だった。

現地の風に吹かれて、ローカルが大切にしている「歩み」に触れるのもとっても素敵な時間だ。

気になったものがあったらぜひストーリーを訪ねてほしい。

Photo by Makoto Nakasone

Text by Michiko Nozaki

店舗情報

住所 〒901-2134 沖縄県浦添市港川2丁目16−7

営業時間 11:00-18:00

定休日 水曜日、土曜日

Instagram @proots_okinawa

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