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二人なら広さの単位㎡も無限大「平と米の制作所=平米」

二人なら広さの単位㎡も無限大「平と米の制作所=平米」

CULTURE

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あははは!と笑いながら大事なことをサラッと言ってのけた。

「あぁ、生きていることを楽しんでない!今、私死んでるかもしれない!モノを作りたい!って思って」と気持ちよく笑った。

そうニコニコと木工芸に携わるきっかけを語るのは平安山さん。

「平と米の制作所」の「平」担当だ。

うんうん。と頷く「米」担当の米須さんも同じく語ってくれた。

「あぁ、そうだった!家具を作りたいんだった。うん、帰ろう。て思って」とクスっとしながら穏やかにそれぞれの悟りの境地の瞬間を教えてくれた。

どこか静かにコミカルなツボを押してくれる「平米」の二人。

なんだろう。この懐かしい感じと思った時、もっともっと二人の話が聞きたくなった。

それはひとクセある思慮深い、リアリティに溢れる爽快感。

なんだかまるで星新一のようなユーモアだった。

二人の出会いは沖縄。

工芸振興センター(現在は沖縄工芸の杜)の同期だという。

「席が前と後ろで近かったんですよ。美術系の学校に行ってたのは知っていたので、デザインの角度とかが甘いなって思った時に、これ本当にここでいいの?ってガンガン話していったんです。」と笑う平安山さん。

物怖じせず素直に直接指摘する様子が仲良くなったきっかけだと話す。

「遠慮せずに言いやすいんですよね。課題以外の美術作品やデザインの話をしても、これ嫌だよねっていう所が一緒で。よく仲良いひと同士好きなものが一緒って聞くけど、私たちは嫌なものが一緒だった。それが決めてでしたね。」

「一緒にやらんね?」

そう米須さんが平安山さんに声をかけた。

「一人よりも二人の方がアイディアも2倍なんですよ」そういうと二人で目を合わせて思い出すかのようにふふっと笑った。

東京出身の平安山なほみさんは祖父のルーツが沖縄。

芸術大学を受けに沖縄へ引っ越し、彫刻を学んだそう。

「在学中はずっと作品作りをしていたので、自分でこのままだと世の中のことを知らなすぎる!と思ってまずは就職したんです。そしたら2ヶ月くらいで、生きていることを楽しんでいない!って気づいて。」と平安山さん。

工芸振興センターの話を聞いてやりたいとは思ったものの、就職して間もなかったため悩んだ末、知り合いのシェフに相談。すると「やりたいことあるなら今やらんと!なんで死んだ状態やってるの?」と気づかせてくれたそうだ。

米須美紀さんはというと沖縄出身で、プロダクトデザインを目指し福岡の芸術大学へ進学。

「家具のデザインがやりたかったのに、授業になくて。陶芸に進んで、それで大学院まで行きました。卒業後は看板屋さんで働いたんですけど、家や家具が好きだったのでインテリアコーディネーターの資格をとって、リフォーム会社に就職し大工をしていました。でも結構大変で体を壊しちゃって。」と米須さん。

ある日母親からの電話があり工芸復興センターの存在を教えてもらったそうだ。

その瞬間、暗闇から光が見えたという。

「本当に光が見えましたね。その時は。あ、家具を作りたいんだったって思い出して。」

そしてホームである沖縄へ還った。

こうして希望に満ち溢れていた二人だったが、就職してからそれぞれ荒波に揉まれ考えあぐね果てた結果、ずっと好きだった「モノ作りの世界」へ飛び込んだ。

「私たちは使いやすくて美しい、添い遂げたい家具や器を作っていきたいんです。ずっと使いたくなるようなもので、使い古したとしても愛着が湧いてくるようなもの。」

と言うのも作っている本人が気に入ったのには愛着が湧いてくるそう。そんな時はさりげなくお店に置く際に少し控えめのポジションに置くらしい。

「でも意外とそれを見つけて買ってくれるんですよね。そういう時に自分達の方向性って間違ってないんだなって思える」そういうと二人で頷いた。

二人はまず作りたい形を考えてから、どの種類の木がいいかを話すそう。

絵付けをするシリーズは、前面に絵柄があるものには木目が薄いものを選んだり、独特なクセがあるものはまた別の作品用にとっておく。

楠木、センダン、タブノキ、琉球松など15種類以上の沖縄の木を使用している。

「沖縄を逆に意識しないようにしています。沖縄って色々濃いから無理に意識しなくても何かしらのエッセンスは出てきちゃうんだろうなと思って。」と微笑む米須さん。

元々アートから入った二人は普段の家具や器作りをする上で、少し羽を伸ばしたい時があるという。

「二人とも作家気質なんですよね。だから同じものばかり作っていると好きなことをやっているのに嫌いになりそう!ってなる時があって。でも嫌いになりたくないし。」

これには誰しもが理解できる感覚ではないだろうか。

どんな職業でも同じ作業をずっとやっていては、気分転換が必要になる時がくる。

そんな二人はある日、コペルニクス的発想でクリエイティブな行動に出た。

そう、幻の彫刻家。

Heybe Ihor (ヘイベ・イーホル)の誕生である。

「樹木や真鍮等を組み合わせた作品を制作している。年齢、性別、国籍不明。

氏名からヨーロッパ辺りだと考えられるが樹木の種類を見ると制作の拠点は日本の沖縄だったのでは?と推測されている。」

– ヘイベ・イーホルを研究するインスタグラムアカウントより(@heybe_ihor)

「普段平米がやっているのとは違うジャンルでオブジェを展開してます。自分達の心を喜ばすものはイーホル。生活するために作るものはちゃんと作って、好き勝手にできる場所を一人の架空人物が作ったことにしようって思って。」と爽快に二人で笑った。

「イーホルにゆくゆくは陶芸もしてもらおうと思っていて。だから絵画作品や陶芸の作品も存在すると言われているが、まだ発見されていない。って匂わせてるんです。」

何を隠そうこの存在を知った時はあまりの唐突さに筆者はつい吹き出した。

なんたるクリエイティビティー。

なんというか、逆境を物ともせずそこはかとなく溢れる心強いエネルギーなのだ。

しかもこのオブジェ、更に素晴らしい理由を兼備していた。

それは、二人はできるだけ木材を無駄にしたくないという。

せっかく手に入れた木材だから使えないような部分でも、できるだけ生まれ変わってどこかに置いてもらえたら一番嬉しいと。

「こんなに小さいのに木目がすごく綺麗だったりするとイーホル用に置いておこうって思う。」と微笑む二人。

「生まれ変わり場所もイーホルなんです。より何も捨てられなくなりましたね。」

自分達の想像力で解決策を見つけるなんてここまでくるとアッパレ。

クリエイティビティーは人間のモチベーションも地球をも救うのだ!

インタビュー中に何度も出る言葉があった。

「我慢しないで言う。その時に言う。」

二人でモノづくりをするからこそ、言葉のキャッチボールを大切にするふたり。

そんな二人でも険悪なムードになったらモグモグタイムを設けるようにしているという。

「お菓子とコーヒーがあれば大丈夫!甘いものは欠かさず持ってくる!」と笑いながら話す。

一度甘いものとコーヒーで一息をつけば切り替えできるそう。

思いがけないキュートな答えに一緒に笑ってしまう。

これからも添い遂げたい、妥協しないものを作っていきたいと話す平安山さんと米須さん。

本人達も進化しているからこそ、見る目も段々と変わってくる。

常に話し合って、常に自分達がいいと思うものを世に出していきたいという。

「妥協が二人ともできないんですよ。美術出身だからいくらでも手を加えられるんです。だからもうできることないよね?って思えたら世に出せるような感じなんです。」とまっすぐな目で話してくれた。

「その時いいと思っても話し合って、もうちょっと考えよう。ってなるんです。難しいですね。」そう笑うとふふっとお互いを見合わせた。

ポジティビティーだけの印象とも違う。

ちゃんと自分の生き方と向き合って、悩んで、また見つけて、を繰り返した心の機微からくるものに違いない。

等身大のほのぼのさもありながら、したたかなエネルギーも兼ね備えている。

そんな二つの要素が相まって創造力に奥行きが生まれるのだろう。

それは自分の気持ちにちゃんと耳を澄ませることができる二人の芯の強さが存在するからかもしれない。

格好つけずに進もう。

時々ユーモアを忘れずに。

それが一番カッコイイ。

情報:

https://www.heibeiworks.com
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