「やっぱり犬を飼ってる人にとっては1日でも長く生きてもらうことがなによりなんです。」
すっぽりと心に入った一言。
「犬って人間の三倍のスピードで生きているのでどうしても我々より先に死んでしまうんです。昔買っていた2匹両方とも僕の腕の中で旅立ったんです。それでもやり残したと思うこともあって。だから犬が人と一緒に豊かに暮らせるためのお手伝いがしたい。」
優しく語る店主、奥井庸介さんの溢れだす犬への愛がヒシヒシと伝わる一言だった。
宜野湾にあるTrue Blue Dog Supplies は、丘の上の方にグッと登っていくと現れる元米軍ハウスをリノベーションした犬グッズ&フードの専門店。
お店では看板娘のデイジーとゾーイの2匹が迎えてくれる。
フワッフワの白いカーリーな毛とピシッとした姿勢が綺麗なデイジーは、人との接客が抜群で気品のある穏やかさを兼ね備えている。
茶色のクセ毛がかわいいゾーイは、お転婆娘!かと思いきや床でのんびりウトウトしたりとマイペースさがとってもキュート。(奥井さん曰く、ゾーイはヤバいやつとも友達になれる大らかな性格なんだそう。)
2匹とも人間にとても優しく、じっと奥井さんを見つめる目には信頼と愛情が。
奥井さんは広島出身で、今まで東京、ニューヨーク、バンクーバーに住み、そして沖縄は今年在住10年ととってもグローバル。
小さな頃から生き物が大好きで、夢は獣医になりたかったそう。
そんな生き物愛に溢れている奥井さんは会社員を辞めた後、フリーライターとして海外でも活躍。
そして沖縄へちょうど10年前にパートナーと一緒に移住してきた奥井さん。
「カナダの後にヨーロッパに移ろうかと思ったけど、震災もあったし、日本が恋しくなってね。」
16年半連れ添った2匹を看取ってから帰国したという。
(下の写真の2匹、すぐ目に付く位置のレジ横に飾ってある)
そんな奥井さんのお店「True Blue Dog Supplies」は、北部やんばるの本部町伊豆味にある「True Blue」というトリミングサロン&ペットホテルの姉妹店。
やんばるの方はご自宅兼お店というなんとも素敵な作りになっている。
(True Blue dog grooming & hotelに関してはコチラ @truebluedoggroomingandhotel をご覧ください。)
今年で4年目を迎えた「True Blue Dog Supplies」には、カラフルなおもちゃやいろんな種類のドッグフード、洋服などグッズがとにかくたくさん!
「自分の感覚で、いろんな国のものを集めてセレクトしています。沖縄にペットグッズを売っていて本当に欲しいと思うお店が一つもなくて。この子たちのためにも自分が欲しいお店を作ったら人が来てくれるかなと思ったのがきっかけです。」とデイジーとゾーイを見ながら優しく目を細める奥井さん。
ペットフードがずらりとある部屋には、いろんなコンディションにも対応できるように様々な種類のドッグフードが置いてある。あまり食欲のない犬には食いつきのいいもの、老犬であればシニアに合う食べ物だったりと、お肉類や魚類まで多岐に及ぶ。奥井さんに相談すればいろんなアドバイスもくれる。
「自分のお家みたいにレコードをかけたり、好きなおもちゃを並べてます。だからみなさんの滞在時間が長いんですよ。」と笑う奥井さん。コロナ禍の前はカフェ営業も。
「ここは楽しい場所ですね。遊んでいる感じで働きたいので、お友達みたいなお客さんが多いんです。」お客さんの犬と一緒にデイジーやゾーイ達が遊んだり、他の犬との待ち合わせ場所になったりしているそう。
「最近は犬と遊べない犬も多いんです。せっかく犬に生まれてきたからには他の犬と一緒に駆け回ったりしたいじゃないですか。こういうところに来てたくさんの犬に会うしかないんですよ。人間が教えてあげられないのでね。犬の社交場です。」と笑った。
奥井さんが海外での犬達との暮らしの中で気づいたのは、日本とは比べ物にならないくらい「しつけ」が進んでいることだという。
「それを伝えたいという思いもあります。」
「結構うちお客さんに厳しいですよ。注意したりしますし。それが嫌で二度と来なくなる人もいますけど、逆にそこから一緒に学んだりとかもありますしね。泣きながら柴犬のしつけについての相談を受けたりもします。獣医さんやトリマーさんとかもよく来ますよ。」と笑った。
犬と親密に暮らすにはしつけが必要だという。マナーがあるからこそ自由度も上がる。
「人間が過保護すぎて、赤ちゃんのように飼う人が多いんですよ。ご飯なかなか食べないんですと相談に来るんだけど、大体運動してないことが多いんです。人間と一緒ですよね。」
どうやら話を聞いていると、物を買いにくるというよりもここはみんなの街の犬コミュニティスペースのようだ。
お店の中をよく観察すると、所々に思い出や犬に纏わるアートが散りばめられていることに気づく。
いろんなところに奥井さんの想いが詰まっているのだ。
「もうちょっとしたら始めるんですけど。」と奥からゴソゴソと何やらカラフルなものを出してきた奥井さん。
おお!これは沖縄のチョンダラーではないか!
(チョンダラーとは、沖縄伝統の踊りエイサーの道化役)
「こういうの着てたらちょっと笑い取れるよね。」なんて笑いながら今後のオリジナル商品だったりも企画中とのこと。
少し前に、アリゾナ州立大学でイヌ専門に研究するクライヴ・ウィン教授が出した本「イヌは愛である-最良の友の科学」を読んだことがある。
その本には「イヌの本質は愛である。彼らの愛を、わたしたち人間は見習わなければいけない。」とある。
「誰かがあなたを愛しているのなら、あなたのイヌだって同じはずだと。イヌは愛を求めている。そして、わたしたち人間もイヌに愛される名誉を、受け取る資格がある」という。
犬の行動や目線から感じるものを「愛」と断言できることは、とてもシンプルな言葉の中でも胸いっぱいの暖かさが生まれる。
奥井さんは心底その気持ちを受け止めて、また精一杯その愛をまた贈り返しているのだ。
将来の展望を聞くと「10年間やっていて間違ってなかったと思う。このままやっていくかな。あとは公園の近くとかで散歩がてら寄れるようなお店も将来は出してみたいと思ってはいます。」と安心感のある一言。
これからも「True Blue Dog Supplies」は奥井さん、デイジーとゾーイが暖かく受け止めてくれる「街の犬コミュニティスペース」のような場所であり続けるだろう。
ぜひワンちゃんのいる方、そしていなくてもワンちゃんに癒されたい方は足を運んでみて欲しい。
犬のコミュニケーション場に飛び込んでみて。
そこには「愛」しかないのである。
店舗情報:
住所 〒901-2223 沖縄県宜野湾市大山1丁目15−8
営業時間 11:00-19:00
定休日 月曜日・火曜日
@truebluedogsupplies
(*最新の情報は店舗のインスタよりご確認ください。)