このサイトはJavaScriptがオンになっていないと正常に表示されません

「伝える」お店、思いやりを添えて。

「伝える」お店、思いやりを添えて。

CULTURE

Read More

「ふと立ち止まって、自分の暮らしを考えてこれから5-10年仕事を続けていく中でどういう生き方をしていきたいかな。」と自問自答した。

「ふと立ち止まって、自分の暮らしを考えてこれから5-10年仕事を続けていく中でどういう生き方をしていきたいかな。」と自問自答した。

それがちょうど10年程前だったという。

元々東京の広告代理店出身で編集プロダクションを経て編集者として、取材にイベントにと大忙しだったセソコマサユキさん。東京ではずっと仕事ばかりだったという。

「プライベートも仕事もちゃんとトータルで心地いい状態でいたかったんですよね。地方に取材で行った時にみんなの顔がイキイキとしていてそれが印象的で。」と当時を振り返った。

「沖縄って実は開業率が日本で一番多いんですよ。みなさんのびのび好きなことして生きてて、本当にいい顔をしてます。とりあえず自分でなんかしようとするんですよね。」そういうと嬉しそうに話してくれた。

そんなセソコさんがプロデュースするお店は元気いっぱいの黄色がとにかく眩しいエントランス。沖縄のギラギラした日差しに照らされて更に「おいで〜」と呼んでいるような気がしてついつい店内へ引き込まれる。

ここは豊崎にある「島の装い。STORE」という沖縄本島や離島の素敵な作り手の作品を集めたセレクトショップ。

実は浦添のサンエーパルコで開催していた「島の装い。展」というイベントから派生したという。

「普段の仕事で取材を通して作り手さんと繋がる機会は多いけど、一回記事になるとそこでおしまいになってしまうことが多いので、継続的に作り手さんのものを見てもらって、離島の人同士がつながって協力して情報交換できたらいいなって思ったのがきっかけでした。」とセソコさん。

「沖縄の人達自身が沖縄のものづくりや、お店を見てこんないいものがあるねって言って暮らしに取り入れたら沖縄の中で経済が回ると思うんです。だから、沖縄にまつわる衣食住のアレコレ「島の装い」を見つめ直して、自分たちで使って、自分たちで楽しんでいくっていう想いを込めています。」

飾り整えるという意味を持つ「装う」という単語を名前に選ぶ発想が実に華やかだ。

日常に溢れる彩りに気づかせてくれる。

衣装の装い以外にも、ただお皿を並べるだけじゃなくて好きな食器を選んだり、花器を置いたりすることも食卓を「装う」ことだという。いわば「暮らしが豊かになっていく」様がセソコさんにとっての「装う」ことに違いない。

「沖縄に対しての想いが熱い方々ばかりなんです。私自身も惹かれるものを選んでいます。」とお店のセレクトもこなすディレクター兼バイヤーの小嶺萌々子さん。

小嶺さんは渡嘉敷島出身で「島の装い。」プロジェクトに携わるようになってから他の離島に初めて訪れたという。

実は沖縄の人が沖縄のことを知らなかったりするのだ。

だからこそここが離島の作り手同士の交流の場にもなってほしいと。そんな想いを語ってくれた。

「みんな地元が好きで自分たちの好きなところを知ってほしいんですよね。そんなピュアな心が僕たちの根っこのモチベーションになってます」とセソコさんもにっこり。

向こう何十年と、次の世代になっても未来に存在し続けてほしいと思うような観点で作り手やその作品を選んでいると、必然的に環境に優しいものだったり、どこかに負荷がかかっていないものだったりが集まってくるという。

そんな自然発生する優しさは一度ここに訪れるとわかる。人と人との繋がりを大切にするからこそ自然とマインドセットが私たちの環境、地球にとっても優しいのだ。

「単純にここのお店は売る場所というよりは、作り手さんや作品を伝えていくためにいろんな企画をやっていこうと思っているんです。」

そう、実はここ「島の装い。STORE」ではトークイベントやpopupも毎週のように開催されているという。編集者ならではの角度から、いろんな工夫を凝らして「伝える」という作業をセソコさんはチャレンジし続けている。

店内に隣接している「島の装い。パーラー」のキッチンではアイスコーヒーや島コーラなどのドリンクメニューと、nokï やましろあけみさん監修の「生地を味わうシュークリーム」を堪能することができる。

カフェでもなく、喫茶でもなく、沖縄に存在するパーラー文化に着目するところがさすが。

しかもこちらのシュークリーム、注文を受けてからクリームをたっぷり詰めてくれるという!

ぜひこの優しい甘さが口に残るシュークリームを試していただきたい。外のベンチに座ってゆっくり食べるのがおすすめ。

そんなセソコさんに「いい編集者とは何か。」という無垢で無知な質問を投げかけてみた。

「自分が好きなものをシェアしたいっていう純粋な想いを大切に。そして仕事ってなんでも思いやりだと思うんですよね。思いやりがあると仕事がやりやすくなったり、1つのページがわかりやすくなったりする。そんな思いやりを持って仕事ができるような、そういうところを大事にしたい。」そういうと照れたように笑ってくれた。

投げたボールがど真ん中に返ってきて、なんだか私の方が幼稚な質問をしてしまい照れ臭かった。

「作る人も使う人もみんなが暮らしを楽しんでいく仲間で、一緒の立場なんです。使う人が意見をくれたりしたら作り手もモチベーション上がるし、作り手もお客さんの顔で来てくれますし。これからもそういう繋がりが生まれる場所になり続けたい。」

ここ「島の装い。STORE」は作り手と買い手の垣根がないことが好きだと言うセソコさん。

純粋にいいと思った事を伝え、そこに思いやりを添える事で受け取り側も両腕を広げて心から受け入れることができる。そんな本質的な日頃のやり取りの大切さを思い出させてくれるような、そんなお店。

ぜひみなさんも足を運んでみて!思いがけない気づきに出会えるはず。

店舗情報:

住所 〒901-0225 沖縄県豊見城市豊崎1−329

営業時間 10:00-19:00

定休日 火曜日・水曜日

@shimanoyosooi_project

(*最新の情報は店舗のインスタよりご確認ください。)

Related Article

得る気づきに目覚めるAwayk

得る気づきに目覚めるAwayk

NEWS

那覇から今帰仁(なきじん)まで車を走らせること2時間。

那覇は島全体から見ると南寄りに位置しているため北部までは割と距離がある。
(そう、意外と沖縄は縦長なんです。)

北上していくとシティーからぐんぐん景色が変わっていく。

目に見える色がどんどん増えて。
気づくと亜熱帯の草木が生い茂り。
空と海の色が同化していく。

「意外と遠いんだ。」

だからかな。
そうポツリとぼやいた瞬間少しだけ何かがいつもの生活と分離した感覚。
心のピント修正とも言える爽快感。
そして訪れる安らぎ。

少し離れただけなのに、私の肩の力が穏やかに抜けていく気がした。

沖縄を想う好奇心くすぐられるお店「Proots」

沖縄を想う好奇心くすぐられるお店「Proots」

NEWS

「デッドストックたくさん連れて帰ってきました。」

その言葉をSNSで見かけた時、今までスニーカーや古着以外の文脈でデッドストックという単語を見かけたことがなかったので、つい私の指がその投稿に反応した。

美味しそうなベッコウ色とラムネ色のそれは、琉球ガラスだった。

画像からして沖縄のお土産屋さんで売っている琉球ガラスとそもそも雰囲気が違う。
それはカラフルではなく、無骨で、なぜかフォルムに温かみがあった。

お土産屋さんにある琉球ガラスとどう違うんだろう。
昔の琉球ガラスはどんな触り心地なんだろう。

私は実際にそれを手に取ってみたくなった。

職人技光る手描き看板の 「HAND SIGNPAINTERS」

職人技光る手描き看板の 「HAND SIGNPAINTERS」

NEWS

「もっと沖縄を大事にしないとなって感じるんです」

「沖縄を訪れた人が沖縄のこと好きで、大事にしてくれてるのを見ると、沖縄出身の私たちも、もっと自分達が大好きだと思っている沖縄について考えたり、行動したりしたいと思うんです。」

その言葉は重苦しくなく、率直で、誠実な言葉だと思った。

なんだかそれは「自分をもっと大事にしないと」と言っているようだった。

Translate »