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暮らしと密接した中にある彫刻「石獅子」

暮らしと密接した中にある彫刻「石獅子」

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「二人で良くなんでもない石をもしかすると石獅子じゃないかと思ってジッーと見つめてます。」
そういうと、夫婦でクスッと笑った。

「二人で良くなんでもない石をもしかすると石獅子じゃないかと思ってジッーと見つめてます。」

そういうと、夫婦でクスッと笑った。

沖縄独特の守り神「シーサー」。

ありとあらゆる家庭やお店の玄関に祀られ、それぞれの人間の住処を災いから守ってくれている。

「石獅子」という言葉は聞いたことあるだろうか。またの名を「村落獅子」。

実は沖縄中に何体も古くから存在していて、村落を守るシーサーの原形と言われている造形物だ。

十数年もの間どっぷりこの石獅子の魅力に引き込まれている、若山大地さんと若山恵里さんご夫婦。

ここはそんな夫婦二人が首里に構える「スタジオ de-jin」というアトリエ兼ショップ。

今回は沖縄の日常に溶け込んでいるシーサーのオリジンである「石獅子」の存在について教えてもらった。

「実は元々、村落獅子は対になることもなく単体で村を守っていることが多いんです。暮らしの変化と共に今の対のシーサーになったんです。」と若山さん。

シーサーといえば、口が開いている雄と口が閉じている雌の阿吽が思い浮かぶのだが、元々単体だったという事実に驚愕。

最も古いとされる村落獅子は1689年に設置された富盛の石彫大獅子で、フィーザン(火山)と呼ばれる八重瀬岳に向かって口を開けて災いを吸い込み村を守っていると言われている。

諸説ありだが、遡れば古代エジプトのライオン像がルーツとも言われ、その姿を口頭で伝承されてきたことにより、ライオンを見たことない人たちが想像力を駆使して彫ってきた守り神だという。

そんな石獅子はものによっては、目、鼻、口がなんとなくあるようなユニークな表情で、なんともユーモラスであり、且つ原始的な魅力がある。

若山ご夫婦は二人、沖縄県立芸術大学の彫刻科を専攻していたときに出会ったそうだ。

元々大地さんは沖縄生まれの愛知育ちで、恵里さんは滋賀出身。

卒業後に、当時同じ大学で彫刻科出身だった豊永盛人さん(玩具ロードワークス主宰)から「村落獅子」の存在を知ったという。「こういうものがあったのかという驚きと、それまで15、6年と石をずっと彫っていたのに知らなかったという勉強不足の恥ずかしさ半々の気持ちだった。」と当時を振り返った。

卒業後、別の仕事もしながら大地さんは石を彫ることをやめなかったという。

恵里さんは、段々と「なんでここにあるんだろう。どういう思いが込められているんだろう。」と、

思い馳せながら村落獅子の探索をし始め、徐々に村落獅子と村の人々との関わりに興味が湧いてきたという。

そして今では琉球新報にて石獅子についての連載まで担当し、リサーチを欠かさない。

実はこの石獅子探索ジャーニーは地道な努力で成り立っている。

公民館などに行って村落獅子があったその周りの村落のことを知っている人を見つけ、またその人に詳しい人をどんどん繋いでもらうという。石獅子のストーリーなどを話せる人はご高齢の方が多いので、アポイントなどはなかなか取れない。直接出向き自分でデータを収集して、言わば聞き取り調査を10年以上もの間やり続けているのだ。

ご自身がバイブルと呼ぶ「沖縄の魔除け獅子」という長嶺操著者の写真集を頼りに各地へ足を運び、更に自分で資料作りをするという、もはや研究者である。

村落獅子は、一般庶民が自分達の村や家族を守って欲しいからと「自分達のために」作っていたところが魅力の一つだと大地さんは語る。

お城などにあるような「超絶技巧」のように魅せるという心の欲を微塵も感じさせないのだという。

手で彫るという作業がどこか単純で、誇示することなくもっと身近でできる作業だからこその魅力がある。

言わば「暮らしと密接した関係にある彫刻」なのだ。

大地さんが手彫りにこだわる理由として「機械で彫ることに罪悪感がある」と話す。

石獅子の素材となる琉球石灰岩は沖縄の大地を形成する地層で珊瑚礁のはたらきでできた岩石だ。

加工することなく、自然からの恵みをそのまま素材として使用するため「自然のものを扱わせてもらっているという感覚」があるという。

「加工するのは人間の横着さのような気がしていて。だから最低限の敬意を払う意味としてあまり機械でやらないようにしているんです。」

日頃から石と向き合っているからこその見解だ。

この「自然への敬意」はどこか伝統を敬う沖縄の文化に通ずるものを感じる気がする。シーサーにしろ、とにかく人々の生活に溶け込んでいるのだ。

「沖縄は自分もそうだけど伝統文化を受け取りやすい土壌がある気がするんです。ハーリーやいろんなお祭りにしろ、若い子が積極的に参加している気がするんですよね。自分の文化を肯定しやすい気がします。」と微笑んだ。

村落獅子は、集落の人はもちろんのこと「資源」の守り神としても役目をかっている。

土、火、水などを守っている石獅子が多いため、井戸の近くや、火を大切にする鍛冶屋のそばに守り神として存在することが多いそうだ。生きていく上で大切なものを守っている石獅子。

そんな沖縄が持つ自然を尊ぶ文化を、自ら大切に受け取り、そして伝えていくというお二人の姿に何か眩い逞しさを感じる。

そんな村落獅子について長年のフィールドワークの甲斐あって、バイブルと呼んでいた「あの」長嶺操著者からなんと連絡があり、今年2022年に恵里さんの本が出版されるかもしれないという。

守り神の存在を更に護り、進化し続ける若山夫婦。

彼らのような人こそ沖縄が守り続けなければならないのだと確信した。

オリジナルの石獅子をぜひ見に行ってほしい。そしてお話も聞いてみて。

でーじユニークな沖縄カルチャーにどっぷり浸かってほしい。

店舗情報:スタジオ de-jin

住所 〒903-0806 沖縄県那覇市 首里汀良町1-2 1階

営業時間 10:00-18:00

定休日 日曜日

電話 #098-887-7466

(*最新の情報は店舗のインスタよりご確認ください。)

@studio.deijin

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