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沖縄の風が生んだ琉球ガラス工房「RYUKYU GLASS WORKS 海風」

沖縄の風が生んだ琉球ガラス工房「RYUKYU GLASS WORKS 海風」

CULTURE

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海が一望できるここは「RYUKYU GLASS WORKS 海風」という読谷にあるガラス工房。

最初はお土産屋さんから始まり、22年前に思い立って技術ある職人達を集めて工房を始めたという。

「でもね、最初は借金に追われて大変だった。大変だったんだけど、ある日お酒を飲んでるときに、手に持ってる琉球グラスを見てめっちゃ綺麗だなと思って。笑」

「…その時、琉球ガラスでいくしかないと思えたんだよね。」社長の屋良さんはしみじみとそう言うと、思い出し笑いのようにクスッとした。

元々屋良さんは沖縄の名護出身で、東京で大学生活を送り、沖縄の工芸を仕入れて発信するには最良の土地だった読谷村にお土産屋さんを構えたそうだ。

お土産屋さんを経営している中、なかなか自分が求めている琉球ガラスに出会えず、ある日工房を自ら建てることを決心した。そこからは全て自分達で手探りで動き出したという。

「ウチはね、手間暇を惜しまないんです。」と話す屋良さんの優しい口調には譲れない何かを感じる。

「一つの目標値の作品が考え出されたら、次やる事はどう効率化したらよりお客様の手元に届く価格に置き換えられるか。を考えないといけない。だけど一つの作品を作り上げるまでに材料だったり、工程がいっぱいあるなかで、効率化ばかりし過ぎて最初のデザインからかけ離れていくくらいだったらやらない。なるべく高く売れるようにチャレンジしていかないといけないんです。」そういうとその意図を説明してくれた。

外国製の大量生産されたガラスが、琉球ガラスの名前で売られるようになってからは琉球ガラスの相場を押し下げるようになったそう。だからこそ、そうならないように信頼のあるお店に届ける作業が大事で、更にSNSなどで新しい作品が生まれてくる過程や、生まれたものを伝える作業自体も大切だという。

「いいものはいいものとして多くを作り出せないんです。1日の生産量が少なくてもそれに甘んじていかなければいけない。職人達に応えるためにもそこはチャレンジしていかないといけない。そして琉球ガラス業界全体でそれをやっていかないといけないんです。」そう言うとマスク越しに優しく微笑んでくれた。

「これはね、自分の中では職人革命だと思ってるんです。職人自体も誇りを持って働けて、世の中も職人っていうものに価値を置くようになっていかないと、いろんなものが効率化されて人間っていう価値が相対的に下がっていく中で、これはこれから作っていく未来との戦いなんです。日本人とか沖縄の人が持っている価値を以って、人間の価値を伝えていかなければならない。」その優しい声とは裏腹にとても熱い確固たる職人魂と使命を突きつけられたように感じた。

それには買う側の考え方の成長も必要なのかもしれないと思った。

あまりに便利な世の中に慣れ過ぎた私達は作り手の工程や想いまで汲み取ることを忘れてしまっている。1日でも早く、多く、利便性に長けることがいい事だとすっかり思い込んでしまっていたことに気づく。

思いがけないサーブを食らった気持ちになった。

「人間は生まれた時から「伝える」っていう作業をずっとしてきたんだと思う。表情を覚えて、言葉を覚えて、文章を書くようになって、表現するようになって。だからSNSも伝えるっていう意味で大事だし、僕らにとってガラスがSNSなんです。ガラスで世の中に伝えたいものを作り出しているんだよね。だから一つ一つの想いがあって、伝えたいものがあって、そして今を伝えるために作ったものが残っていったら、百年後でも千年後でも人に伝えるモノであり続けると思うんだよね。」

時代背景や今自分が感じることだったりをガラスを通して「伝えて」いきたいという屋良さん。

それはガラスが媒体であって、一種の表現方法だからこそ、作り出すガラス自体とそれを作る自分達も共に成長しているに違いない。

自分で工房を建ててから思い描いていたような琉球グラスができるまでどれくらいかかったのか聞くと「いやまだ途中。笑 まだできてない。追い求めてる感じだね。」と答えた屋良さんの真意がなんとなく理解できた気がした。

「俺にとって沖縄の魅力は古さにあると思う。」

沖縄の魅力について聞いたところ、その想いを教えてくれた。

「薩摩の侵攻もあったし、第二次世界大戦もあったし、いろんな大きな津波もあったし、歴史の流れの中でいろんな悲しみが沖縄の中に染み込んでいて。いいことも悪いこともたくさん経験してきた沖縄っていう土地が伝えるものが、優しさだったり、沖縄の音楽が持っている明るいんだけど旋律の中に悲しさが常にあるっていう部分は、すごく長い歴史の中で作られてきた人間がどう生きていくか。そして自然と一緒にどう生きていくか。っていう知恵として溜めてきたもののような気がしてね。」

「目にも見えないし、歴史にも残っていない、そんな更に遠い昔の歴史の蓄積がいろんな人たちを受け入れて、混ざっていって、飲み込んでいって、乗り越えていく強さがあるんじゃないかな。だから沖縄の人が持っている古臭さが一番沖縄の良さじゃないかな。」そういうと優しく頷いた。

トロピカルな明るさだけではなく、あらゆる事を乗り越えたからこその染み付いた優しさ。

その言葉はウチナーンチュならではの想いで溢れていた。

コロナを期に年中無休を水曜日休みにした屋良さん。

休日である水曜日には、RUKYU GLASS WORKS海風から巣立って行った職人や熟練の職人達が釜を借りて自分の作品作りをしに集まってくるという。

「職人一人一人が自分の人生と向き合って、満足した人生を送ってほしい。そういう人たちのプラットフォームになるような工房になってほしい。」と微笑みながら語ってくれた。

そんなRYUKYU GLASS WORKS 海風には、沖縄への愛と職人魂を重んじるカルチャーが染み渡っていた。工房には気持ちを込めて作った作品が並ぶショップも隣接し、更に琉球ガラス作りの体験もできるそう。読谷に訪れた際は海風を感じるこちらの工房に是非寄ってほしい。本物のクラフトマンシップが光る琉球ガラスを間近で感じよう。きっとその誠実な美しさに魅かれるはず。

店舗詳細:

RYUKYU GLASS WORKS 海風

住所 〒904-0323 沖縄県中頭郡読谷村高志保915 Gala青い海内

営業時間 9:00-18:00 (*まん延防止処置のため営業時間変更あり。最新の情報は店舗のインスタよりご確認ください。)

定休日 水曜日

@umikaze.okinawa

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