住宅地を歩いていると突如おしゃれな建造物が現れた。

コンクリで低層の建物が連なり、一瞬自分の脳が代官山にいるのかと錯覚するほどだ。

ここは「märch -lifestyle & green-」というライフスタイルショップ、アパレルショップ、そしてカフェなどが共存する複合施設だ。

目の前にそびえ立つのが、店名の由来にもなった琉球松。

「松」は沖縄の方言で言うと「マーチ」という。まさに店主松岡さんの「松」と、琉球松の「松」だ。

marchだと尻下がりに読んでしまうため、違いを示すのとロゴ的な意味も含めてウムラウトをつけ「märch」になったという。

この施設には四つの機能があり、雑貨部、märchが運営するポップアップスペース、沖縄発祥アパレルブランド「KIKIRU」、喫茶部「モガメン」である。

どれもこれも気になりすぎて敷地内に入ると、まず足が左から行こうか右から行こうか小躍りをしてしまう。

右手の建物にある雑貨部に入ると県内外からセレクトされた雑貨が目の前に広がる。

こだわりのカゴやインセンス、おしゃれなカトラリーや器など日常を少しアップグレードしてくれるような雑貨たちだ。

その奥へ踏み入れると華やぐ心が止められない。おしゃれなカフェから香ばしい香りが。

ここはまぜそば「モガメン」。まぜそばと一言では言い表せないような逸品で、丁寧さが伝わる絵画のような発色が印象的だ。

外に出てお向かいの「KIKIRU」へと入ると上品な雰囲気が漂う中、沖縄の気候に合いそうな素材のアパレルが並ぶ。個性的なデザインの中に、日常でもサラリと着こなせるような心地よさを感じる。

「KIKIRU」に隣接するポップアップスペースは毎回違う県内外のブランドや作り手で賑わう。

(※撮影時は転換のタイミングだったためクローズ)

毎回違う楽しみがあるのでぜひ店舗のインスタグラム(@march_okinawa)を随時チェックして欲しい。

沖縄は島ならではの良さがあり、お客様付き合いだけでなくお店付き合いを大事にするという。

「県外だとライバルになるところが逆で、みんなで助け合って繋がりを強めていくんです。」とにこやかに沖縄の魅力を口にしてくれた。

博物館学芸員、デザイナー、広告と多彩なキャリアを歩んできた松岡さん。

「ずっと京都で働いていたので沖縄に帰ってきた時は逆カルチャーショックもあって。ここは国際通りが近いのでお土産屋さんも多いし、沖縄っていうキーワードは良い意味で意識しない方がいいのかなと思って。」と松岡さんは学生時代に京都の雑貨屋でバイトをしていたという過去を持ち、自分の強みを考え、意識的に沖縄じゃないものを敢えて取り入れるようなスタイルでターゲットを地元に向けて発信しているという。

「自分の好きなものを集めてるだけなんですけどね。」と笑いながら語ってくれた。

建物自体も松岡さんのデザインセンスが詰まっており、入り口から見たときに何らかの形で四機能が注目されるように、高さをずらしレイヤーによって奥行きがあるようにしたかったという。

そんなこだわりがぎっしり詰まった「märch -lifestyle & green-」には「ヒト、モノ、コトの出会い」があるという。

ここに来れば毎回違った「何か」に出会えるはずだ。

店舗情報：

märch -lifestyle & green-
住所 沖縄県那覇市安里８２−１
営業時間 11:00-19:00
定休日 水曜日